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エリトリア:監獄のなかでまた迎えた誕生日

ソーシャルメディアのキャンペーンでCiham Ali Abdu氏の拘禁に注目が集まる

(ナイロビ)- エリトリア政府は6年以上の間、Ali Abdu Ahmed元情報相の娘Ciham Ali Abdu氏を、外界との連絡を断ち、隔離拘禁している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。今日で22歳になるCiham氏は、家族がその行方や状態について全く把握できていないなか、また監獄で誕生日を迎えることになる。
 
Ciham Ali Abdu  © Private

Ciham氏は米国で生まれ、父のAli Abdu Ahmed氏がイサイアス・アフォルキ大統領のもとで政府高官の地位についたため、エリトリアの首都アスマラに家族とともに移住した。Ali氏は最終的には情報大臣になったが、大統領との間に溝が生じ、2012年にオーストラリアへ庇護を求めた。

Ciham氏は2012年12月8日、父親が国外脱出した直後に国境を越え、スーダンに入ろうとしたところで逮捕された。父親は政権が亡命の報復として、娘を逮捕・訴追したり、無期限の兵役につかせることを恐れ、仲介業者に国外脱出の手配を依頼しようとしていた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ担当上級調査員フェリックス・ホーンは、「Ciham Ali Abdu氏をわずか15歳のときから隔離拘禁することで、政府は事実上、彼女を強制失踪させた」と指摘する。「Ciham氏とすべてのエリトリア政治囚を釈放することこそ、かの国の指導者たちが人権の尊重をめぐり、新たな道を進もうとしているという、国際社会への明確なメッセージになるだろう。」

今週は、「One Day Seyoum」のようなディアスポラ(祖国を離れて暮らす人びと)グループが、ハッシュタグ#happybirthdaycihamを使ったソーシャルメディアキャンペーンで彼女の窮状に光を当てた。しかし、これまでのところ、政府は不当に拘禁している多くのエリトリア市民釈放の求めに応じる様子は全くない。

恣意的かつ無期限の拘禁はエリトリアにおいては非常に一般的で、政府の政策を批判したり、疑問を抱く市民は、裁判や上訴の手段なしに処罰されてきた。そうした疑惑だけで逮捕につながる場合もある。受刑者はしばしば、犯した「罪」を伝えられることさえなく、とらわれの身になった際の拷問が深く懸念されている。

Ciham Ali Abdu氏は米国国民だが、米国当局者は国営放送局「ボイス・オブ・アメリカ」に対し、エリトリアは彼女の状態に関する情報を提供していないとし、彼女が米国国民であることも認めなかった。生存についてもはっきりしたことはわかっていない。

Ciham氏のケースと同様に、投獄はしばしば隔離拘禁となる。家族・親族が受刑者の収監先を知らされることはなく、面会の機会はさらに少ない。ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、説明もなしに遺体が返還されるまで、何年も消息がわからなかった家族や親族について証言した人たちがいる。その際は、何も質問しないよう警告され、検死も行わないように指示されたという。

2018年7月のエチオピアとの和平協定は、エリトリアに新たな改革の時代の到来を告げるものとして希望をもたらした。イサイアス大統領は、1998年の国境紛争がきっかけとなったエチオピアとの長きにわたるこう着状態を利用して、弾圧のまん延と無期限の兵役を正当化した。しかし和平交渉以来、Ciham Ali Abdu氏や何千人もの政治囚が依然として投獄され続けるなど、状況は以前と変わっていない。

ホーン上級調査員は、「Ciham Ali Abdu氏の無条件釈放を許可すれば、エリトリアで新たな改革の時代が始まることへの希望を示せるだろう」と述べる。「政府はすでにCiham氏の青春時代を奪った。彼女は今こそ、成人女性として自由を享受してしかるべきだ。」

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