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入管法改正が難民申請者に新たな障壁をつくりだす

高まる危険な送還のリスク

2015年12月2日、東京拘置所を含む日本の東京入国管理局。 © 2015 Yuya Shino/Reuters

日本の国会は、世界難民の日のわずか数週間前である6月6日に、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)等の一部を改正する法律案を可決した。改正入管法は、日本政府による3回目以降の難民申請者の送還を可能とする。

一部の国会議員、国際法学者や市民社会団体などは、この改正案に激しく抵抗した。なぜなら、日本への亡命を希望する人びとにとって、今回の改正は新たな障壁となるからだ。日本政府は以前から難民認定に対する消極的姿勢が顕著である。2022年に難民として認定されたのは申請者3,772人のうちわずか202人だった。

4月には国連人権理事会の専門家らが「送還前に状況や保護の必要性の個別評価を明確に求める適切な手続き上の保護措置がない場合には、(中略)難民申請者の送還停止効を解除する法案は、国際人権法及びノン・ルフールマンの原則(the principle of non-refoulement)を損なう」と批判した。同原則は、生命や自由が脅かされうる場所への送還をしないとする。

この改正案は、入管施設でスリランカ人女性ラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさん(33歳)が死亡した問題に対する世論などを受けて2021年に廃案になった前回の改正法案と内容がほぼ同じだ。当時も、国連の専門家らは同様の批判を表明し、日本政府に対して「ノン・ルフールマンの原則を尊重する」ように求めた。

日本の移民・難民政策は長らく形式的なお役所仕事や不必要な制限措置にとらわれている。一部の難民申請者は司法審査もなく入管施設に長期間収容され、時には適切な医療を受けることもできない。たとえ仮放免によって一時的に釈放されても、就労可能な在留資格や基本的な社会保障サービスを得ることができず、居住地の都道府県外への移動も禁止されている。

日本政府は迫害から逃れようとする亡命希望者にさらなる困難を強いるのではなく、批准している国際条約、特に難民条約及び拷問等禁止条約を尊重すべきだ。また、難民申請者の長期にわたる収容をやめ、ノン・ルフールマンの原則を尊重するべきである。

日本弁護士連合会が提言しているように、政府は難民申請や異議申し立てを監督する独立機関も設立するべきだ。同時に、手続き上の保護措置が改善されても、難民申請の最終的な審査が終わるまで送還停止効が認められなければ意味がない。難民申請者が、迫害を受ける可能性がある国に送還された後、政府がその申請を認めたとしたら、それは本末転倒ではないのか。

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